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2006年9月

2006年9月16日 (土)

ブダペストのドナウ

今日は南ドイツではなくてハンガリーのブダペスト。

というのは先日ブダペストまで行って来たのでその印象を少し書き残しておこうと思ったので。。。 

ハンガリーはドイツから見ると東南東、オーストリアの向こうにある国です。中部ヨーロッパの中心部にあり、かつてはオスマントルコやハプスブルグ家の支配下にありましたが民族のルーツは更に東の方から来たようでモンゴル系だという話も聞きました。言葉もドイツ語や英語のゲルマン系ではなくマジャール語という独自の言葉です。何でもこのマジャール語、主語を省いたり、苗字が先で名前があとだったりと日本語に似ているそうですが、日本人にとって覚えるのは世界の中で3本の指に入るほど難しい言葉だと聞きました。

ブダペストまでは飛行機で1時間と20分程、Stuttgartはヨーロッパのほぼ中心に位置しているのでヨーロッパ各地へ飛ぶのはとても便利です。ブダペストに着いてから、まずは王宮のある丘に登ってみました。

Budapest2 丘の上から見るドナウ川はとても素晴らしかったです。滔々と水をたたえゆっくりと流れるドナウは川というよりも湖のように静かで川岸の建物の影を映していました。ブダとペストを分けるドナウは町の一部となり、そして見事に町に溶け込んでいるように感じました。むしろ町がドナウに合わせて出来上がっているようにも思えます。 この町はドナウの恵みによって栄えたのでしょう。川と共に生きて、川と共に栄えてきた、そしていつも全ての中心はドナウだったんだと思います。

Budapest1_1 ドナウを眺めながらかつて読んだ宮本輝さんの小説を思い出していましたが、やはり本物は小説よりも多くを語ってくれますね。ぼんやりと景色を眺めながら、向こう岸に見える古い建物がくぐり抜けてきた歴史に思いを馳せ、この町に暮らした人々のことを想像してみました。そして思い至ったのは、いつの時代にも、どんな時にでもドナウは変わらずここに流れていたんだと。何を失ってもドナウはここにある、そんなどっしりとした力強さがドナウにはあります。

そういえば、数年前に来たときは黒く煤けていた対岸の国会議事堂もすっかり白くきれいになっていました。石積みの建物ですから表面を削るときれいになるんですね。経済も栄えてきたようで街に行けば近代的なショッピングセンターにドイツと変わらない品々が売られ、ドイツやフランスのチェーンストアが多く並んでいましたし、何よりも町を走っている車が立派になっています。もう、旧東欧圏の古い車を見かけることはなく、最新のドイツ車、フランス車、日本車がほとんどでした。

夕食はドナウに浮かぶ船の上のレストランに行って見ました。桟橋に固定されていたのでまったく揺れることもありませんでしたがドナウを行き交う船を見ながらの食事はとても贅沢な気持ちにさせてくれます。ドイツでも一般的になっているグラシェスープという日本のビーフシチューのようなスープはハンガリーが発祥の地、本家のグラシェスープを頂きました。別なお皿に盛られたパプリカを丸ごと一本そのままスープに入れると本当のハンガリーの味になるとのことでしたが辛い物が苦手な私はパプリカの匂いを嗅いだだけで遠慮しておきました。スープの味はドイツと比べると少し脂っこかったのでパプリカを入れると丁度良いのかも知れませんね。今思うと残念でした。

Budapest3_1 日が暮れてきてライトアップされた王宮が目の前に見えます。夕焼けの紅の色が消えかかるとき、王宮が輝いて見える一瞬がありました。そのとき何故ブダペストがドナウの真珠といわれるのかが分りました。ダイヤモンドのようなきらびやかな輝きではなく、様々な色の要素を持ち合わせた奥深い輝きがブダペストなんです。長い民族の歴史と文化、そしてそれを磨いたドナウがあればこそブダペストは輝いているんですね。

はるか遠く南ドイツの黒い森に源を発し、いくつもの国を越えて流れ来たドナウ。その一滴は南ドイツに降った雨のひと雫かも知れません。

ドナウを通して繋がっている南ドイツとブダペスト、遠いようで近い国のように感じました。ここにはきっと歴史と文化を背景にしたハイクオリティな暮らしがあるに違いありません。

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2006年9月13日 (水)

街の芸術家

週末ともなると芸術家たちが街に出てきてパフォーマンスを披露してくれます。

日本では大道芸人という言葉がありますが、それとはちょっとニュアンスが違うかもしれませんね。大道芸人というと通りや小さな芝居小屋などで芸を披露しそれによって生計を立てっているプロであってマスコミに媚びることなく大衆を相手に自分の芸を磨き、極めている人というようなイメージですが、ドイツのパフォーマーはお小遣い稼ぎのように見えます。

Art1 楽器を演奏する人、路上に絵を書く人、蝋人形のようになってまったく動かずただ立っている人、など様々です。きっと皆さん普段は他の仕事を持っていて、週末に街に立って芸を披露するんだと思います。

この写真は歩行者天国になっている道路にチョークのようなもので直接絵を書いている人です。同じようなパフォーマンスはあちこちで見かけることがありますが、ほとんどがキリストを題材にした宗教画ですね。絵の周りに小さな洗面器のようなものが見えると思いますが、通る人はその中にお金を入れていくんです。

昔の話ですが、知り合いが音楽を勉強するために留学していて、学校の友人たちと4人で弦楽四重奏のカルテットを編成して街で演奏したところ、2時間でで100ユーロ近いお金を得たそうです。投げ入れていくお金は10セントから1ユーロほどのようですが、演奏がうまい人ほどお金を投げ入れる人も多いですね。

Art2 このストリートパフォーマンス、勝手にやることは出来ず警察の許可がいるんだそうです。許可は簡単に下りるようですが、一回で2時間までと時間指定されるようです。ですから、ストリートパフォーマンスを職業にするわけにはいかないんですね。

私が見た中で一番多くの人を集めていたのは南米のフォルクローレを演奏するグループでした。見るからに南米から来たと分る衣装を纏い、ケーナという長さの違う竹を横に繋いだ笛、ギターにパーカッション、ボーカルもいて、それらにアンプを繋いでスピーカーをセットして本格的なステージになっていました。そして演奏が終わると彼らのCDを販売しているんです。こうなるとまったくのプロですね。でも、心に残る歌声と音色でした。

逆に一番情けなかったのは、小学生ぐらいの子供がリコーダーを吹いているのも見かけた時です。まるで学校の音楽の授業でリコーダーを吹いているようで、もう少し練習してから出ておいで、と言いたくなりました。

週末には多くの人出がある街。そんな街のメインストリートを歩くだけでちょっとした芸術を楽しめますし、それらが街に潤いを与えているように感じます。 芸術の質がハイクオリティかどうかはともかく。

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2006年9月12日 (火)

日本食

Stuttgartには日本食のレストランが一軒だけしかありません。

ミュンヘンやフランクフルトなどの大きな町には10軒以上あるようですし、デュッセルドルフは日本人が多いのでもっとたくさんあります。時々羨ましくなってしまいます。

そのStuttgartの日本食レストランですが、他の町と違うのはドイツ人のお客さんでいつも込み合っているということです。日本からの観光客もほとんど訪れることもなく、住んでいる日本人も数百人ほどのようですから日本人だけを相手にしていてはお店は成り立たないんでしょうね。

Kicho2 それと日本食はちょっとしたブームになっているようです。ドイツのレストランでの食事と比べると見た目も美しいですし、バラエティもあり、何よりヘルシーです。それにこれは想像ですがドイツ人から見ると日本食は知的なイメージがあるのではないかと思っています。素材を生かし、調理方法を工夫し、器や見た目も大切にする。そういうところに日本の伝統文化を垣間見るのではないでしょうか。そしてその日本食を食べることで自らを一段上の人間と思えるような、そんな満足感も味わえるのかも知れません。

そんな理屈はともかく、ドイツの人たちもお箸を使ってお寿司やお刺身などを上手に食べています。私の知る限りドイツ人に一番好まれる日本食は天ぷらです。お寿司もヘルシーなのは分っているけど生のお魚は出来るだけ遠慮したいと思っている人も多いようで、そんな人も天ぷらは大好きです。油で揚げてあるところが生ものに対する警戒感を取り除くのでしょうし、油っぽいところがボリューム感あってドイツの人の口にも合うのでしょう。

Kicho1 日本食レストランは一軒だけと言いましたが、実は他にも数件あるんです。けれどそれらはほとんどが中国の人がやっている日本食もどきで、お寿司などもありますがどこかちょっと違うんですね。ドイツの人には違いは分らないのかもしれませんが。。。

お店の内装は写真のように純日本風です。畳のお座敷もあって胡坐をかいて座ると気分は日本ですね。ドイツの人は畳の上に座るのが苦手ですがお客さんの中にはわざわざ畳の席を希望する人も居ます。きっと日本通なんでしょうね。

メニューは日本の居酒屋風ですが、ちゃんと板さんがいて目の前で握ってくれるお寿司はなかなかのものです。私の好物は「さばガリ巻き」。細巻きで中身は〆さばとガリですが、これが絶妙ですし、他では見たことのないメニューですからStuttgart名物と言えないかな?

お値段のほうは日本の値段と比べるべきもないのですが、ドイツにありながらそこその味を保っているのは立派です。

ドイツの人にとって日本食レストランに行くことがハイクオリティライフなのかどうかは定かではありませんが、日本人にとってはとても有難い貴重な存在です。だからレストランの名前が喜長(Kicho)なのかどうか、これもまた定かではありません。

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2006年9月11日 (月)

オペラ

Stuttgartにもオペラ劇場があります。

街の中心部、シュロス広場から庭園沿いに左手に歩いていくと池に面して威風堂々とでも形容されるような立派な建物がオペラ劇場です。

Opera2 最初に立てられたのは随分と古いようですが、残念ながらStuttgartは戦争でかなり破壊されてしまいましたのでこのオペラ劇場も戦後再建されたそうです。とはいっても石で出来ているので爆弾で壊されても崩れた石をまた積み上げれば同じものが出来るらしいという話もありますが真偽のほどは定かではありません。

この劇場、全部で1400人収容とのことで、大劇場とは言えませんが小ぶりでオペラを聴くにはちょうど良い大きさだと思っています。ちなみに、オペラ劇場に与えられる賞を何度も受賞したとどこかに書いてあるのを見たことがあります。

上の写真は中央の入口でこの奥が劇場になっていますが、実は左のほうにも建物は続いていてその端には別な劇場があります。つまり二つの劇場がくっついているような形ですね。もう一つの劇場のほうが少し小さく、こちらは演劇を主に上演しています。

Opera1 オペラ劇場はホールは円錐形で4階まであります。写真では見えませんが2階にはロイヤルボックスもあり、さすが本場ヨーロッパのオペラ劇場と思わせる雰囲気があります。とはいえ、Stuttgartのオペラ劇場はとてもアットホームな雰囲気で気取った感じを受けません。お客さんもジーパン姿の人も見かけるほどです。例えばミュンヘンのオペラ座も有名ですが、こちらは格調高くアリーナ席はタキシードにイブニングドレス姿の人がたくさん居る様な所でした。オペラというとそういうのが普通なのかもしれませんけど、気軽に楽しめるStuttgartの方が私は好きです。

また、オペラだけでなくStuttgartはバレエも有名です。バレエ学校やバレエ用品を売るお店も街中にありますので歴史があるのでしょうね。私は見たことがないのですがこの同じ劇場で上演されています。

入場料もお安くて、オペラの場合、アリーナ席の前の方や2階の最前列で80ユーロから100ユーロ程、つまり12000円から15000円ぐらい。一番安い席は8ユーロです。出し物、出演者によって料金は違いますが気軽に誰でも楽しめる料金ですね。

9月の後半からいよいよシーズン開幕です。プログラムを見ると、オテロ、トスカ、蝶々婦人、セリビアの理髪師など有名作品が盛りだくさん、中でも今年のメインはカルメンのようです。

夏も終わり秋から冬へと次第に暗くなっていきますが、そんな季節にはオペラを楽しむ。これもハイクオリティライフです。

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野原の散歩道

ドイツの人は散歩が大好きです。

ずいぶん昔のことですが、ドイツ語学校に通っていたときの会話の例題。

「週末は何をしていましたか?」 「散歩に行きました」

そのときは現実味を帯びた会話とは言えない変な感じを抱いたけれど会話の練習だからあまり気にしませんでした。それでも生徒間の会話の練習でも、「散歩に行きました」は典型的な答えとしてそのクラスに根付いていきました。

ところが、実際にドイツに暮らしてみるとドイツ人は本当によく散歩をしています。夫婦で、家族で、友達同士、みんな良く歩いています。

Photo_11 週末はもちろん、平日の夕方も散歩する人の姿を良く見かけます。そうそう、ドイツ人の家に遊びに行ったときに、散歩に行こうと誘われたときはびっくりしました。それほど散歩することが日常生活に密着しているということなんでしょう。

散歩をするのは町の中の道ではなく、もちろん車の来ない自然の中を歩きます。またそういう散歩に適した道があちこちあるんです。もともと自然の多い国ですが自然を残しているのも散歩のためなのかもしれませんね。

そういえば、ドイツでゴルフが盛んでないのは森を切り開き、広い土地を使ってホンの少しの人しか楽しめないスポーツだというイメージが強いからだという話を聞いたことがあります。ゴルフ場の代わりに散歩コースを作れということなんでしょうか。

Photo_12 散歩に行くときに犬を連れている人も多く見かけますね。ドイツでは大型犬が人気があるようですが、良く訓練されているので性格はおとなしくて人に吠え掛かることなどありません。左の写真は私の家から10分ほどのところですが、広い草原で犬と遊んでいる人を見かけました。

広い森の中の散歩道では遠くから車で来て散歩する人もいます。きっと近所の散歩道は歩きつくしてしまったんでしょうね。2年ほど前まで住んでいたアパートは自然公園のすぐ前だったので窓から散歩する多くの人を見ていましたが、夏でも冬でも散歩する人のすがたが途切れることはありませんでした。

森の中の散歩道も良く整備されていて人工的なものはほとんどないけれど歩きやすい道が出来ているんです。3 ごみもほとんど落ちていないし、枯葉や枯れ枝もきれいに片付けられています。きっとお役所が管理しているんでしょうね。

それにこういう鬱蒼と茂る森の中の道を歩いていても身の危険を感じることはまったくありません。ゆったりとした気持ちになり、精神的にリラックスできます。わざわざ混んでいる所に出かけて疲れて帰るよりも、手近でお金もかからずリラックスできる散歩をドイツ人が好むのも理解できます。

週末、森の中や草原を散歩しているとこれこそがハイクオリティライフだなと考えることがあります。

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2006年9月10日 (日)

プール

ちょっと季節をはずしているけどプールのお話。

夏の短いドイツは気温が30度を超えることは年に数日しかありません。でも、今年は異常に暑い夏でワールドカップの開かれていた6月から7月は連日30度を越えていました。普通の家にはもちろんエアコンなどありませんし車にもついていないのは当たり前です。そんなドイツですからプールなんてそれほど必要ないはずですが実はあちこちにあります。

Pool1 写真は私に家のすぐそばにあるプールです。暑かった今年の夏はプールも大盛況。夏休みの間は連日子供たちで大いに賑わっていましたが、学校も始まった今は行く夏を惜しむかのように僅かばかりの人がプールサイドにいました。ここはそれほど大きなプールではありませんが大人用と子供用のプールがあり滑り台もついています。

それよりもプール自体が森の中の公園にあるので周囲は木々に覆われ、広い芝生もあります。水着のまま芝生に寝転ぶ人も居て、暑さをしのぐために水に入るのではなく夏の日差しを全身で楽しむためにプールに来ているようです。

長くドイツに暮らしていると自然と体が日差しを求めるようになってきます。生理的欲求とでもいえるのでしょうか。陽の光を浴びないと病気になるといいますが(くる病が有名)、病気にならないように体が太陽を求めるんでしょうね。夏の日本では日差しを避けるように歩くものですが、ドイツでは日差しの下を歩くのが心地よいと感じるのです。

Pool2 ここのプール入場料は大人で3ユーロ程。家族割引などの料金もあり、お弁当を持って一日過ごすにはお安い料金ですね。芝生の向こうにはバスケットやバレーボールのコートもあります。日差しを全身で浴びながら一日のんびりと楽しむことが出来るんです。

もちろん冬になると屋内プールも準備されていて健康のために一年中泳ぐ人も居ます。また、Stuttgartにはミネラルバードといって温泉(鉱泉でしょうが)のプールもあります。そこには行った事はないのですが何だか健康に良さそうですね。話によるとサウナありジャグジーありと、泳ぐよりもリフレッシュするためのプールのようです。

短い夏を楽しむために近所にプールがあるのもハイクオリティライフの一つの条件なのかもしれません。

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2006年9月 9日 (土)

モネ展

モネ展の話をもうすこし。

Stuttgartのモネ展ではポプラや積み藁の絵が数十点ありましたと書きましたが、その中に日傘をさした女性と子供の絵がひときわ光彩を放っていました。有名な絵なので見たことがある方も多いと思います。

女性はモネ夫人、子供も彼の息子です。草叢の上に立つ婦人が日傘を差し、それを少し下からのアングルで描いた絵です。子供は少し後ろに下がった位置に描かれています。

Parasol  私も何度も写真では見ていましたが本物を見るのは初めてです。所蔵はワシントンのナショナルギャラリーなのでこれまで行く機会がありませんでした。パリのオルセー美術館にも似たような絵がありますがこれは習作のようですね。

本物は違いました。圧倒的な迫力です。

まず目に入るのが陽を背にして立つ女性。丘の上に立つ不安定さを日傘がうまくバランスをとっています。明るい陽の下にいるはずなのに少し逆光で表情もハッキリ見えません。その代わり雲が白く輝いて見えますね。

この絵を見て2つのことに気がつきました。一つは女性の腰の部分の光の反射です。写真で見ているときには雲と同じように光を受けて輝いているのだという風に見えましたが、実際に本物を間近で見ると腰の部分は白の絵の具をそのまま乗せているんです。絵のこの部分だけが絵の具が盛り上がっています。そしてそれが白いドレスに当たる光を強く反射していることを表しています。モネはこの白で光をキャンバスに描くことが出来たんです。

もう一つの発見は女性の影です。草叢の手前に延びる影はあまり気にしていませんでした。実際にこの絵を見たときもほとんど意識することなく、キャンバスに描かれた光だけを感じ取っていました。しかし、少し後ろに下がって絵を見たときの印象の変化に驚かされたのです。さらに5mほど離れて見た時、急にこの女性が浮き上がって見え、そして描かれた景色がまるで目の前に広がる自然の風景のように見え始めたのです。この変化はいったいなんだろう、と近寄ったり下がったりして見ているうちに変化を引き起こすのがこの影であることに気がつきました。

影とはいえ濃い緑で描かれたこの部分がその他の緑と明確に識別され影と意識できるにはある程度の距離を置かなければならないのです。そして影を影と認識したとき、見る人はモネの光と影の世界に引き込まれ、草原も、光も、そしてこの女性すらも今まさに目の前に広がる現実の景色となって自分と同化するのです。

この絵でモネは光と影と、そして自然の空気さえも描くことに成功したのです。第一回印象派展の翌年、1875年のことです。

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2006年9月 8日 (金)

ワイン祭り

毎年9月初旬にはStuttgartのワイン祭りが開かれます。

Stuttgarter Weindorfといって、日本語にすると「ワイン村」ですね。街の中心に数多くの仮設のお店が出来てたくさんの人が地元のワインを楽しんでいます。ドイツでも比較的南に位置するこの辺りはワインの産地としても有名です。しかし悲しいかな日照時間や気温の関係で赤ワインに適したぶどうが育たないので白ワインがほとんどです。中には赤ワインもあるのですが、色が薄くロゼのような赤ワインになります。

地元のワインはスーパーに行くと2ユーロから5ユーロほどで買えます。お味のほうは私には良く分りませんが、気取らずに気楽に飲める口当たりのいいワインが多いようです。あえて言えばフルーティでさっぱり、という感じでしょうか。

Weindorf2 普段はビールを飲む機会が多いドイツの人もワイン祭りのときはみんなワインです。街中の出店はそれぞれのワイナリーが運営していたりするようでお店ごとに飲めるワインが違いますし、一つのお店で出すワインの種類も少ないようです。

このワイン祭り、今年の出来たてワインの味を楽しむのかと思っていたんですが、丘の斜面のぶどうの木にはまだぶどうが実ったままで収穫されていません。どうも出来たてではないようだなと思っていたんですが、実はこのワイン祭り、去年のワインの在庫処分らしいのです。

つまり、今年のワインを造るためにワインの樽を空けなければならない。それ故にワイン祭りを開催して在庫を一気に処分してしまおうということらしいのです。

有名なミュンヘンのオクトーバーフェストもそろそろ開催されますが、あのお祭りもビールの樽を空けるための在庫一掃セールなんだそうです。

Weindorf3_1 まあ、在庫かどうかそんなことは関係なくStuttgartの人はこのお祭りの期間、地元のワインをたっぷりと楽しむわけです。

夏が過ぎ、既に秋の気配が濃くなった南ドイツでは豪快にビールを飲むよりもフルーティなバーデンビュルテンベルグワインがしっくり来るのかもしれませんね。

時には地元のワインでハイクオリティライフを。

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2006年9月 6日 (水)

美術館 -モネ展-

ドイツではどこの町にも美術館があります。

有名なのはミュンヘンやベルリンですが、そのような大きな町だけでなく小さな町にもちょっとした美術館があったりして、国や町あるいはドイツの人たちの文化や芸術に対する考え方に感心させられたりすることも多くあります。

Stuttgartは人口60万人の大きな町で、バーデンビュルテンブルグ州の州都ですので立派な美術館がいくつかあります。私の好みは絵画なので街の中心にある絵画美術館へは時々足を運んでいます。

Monet 今年はこの美術館で大きな特別展が開かれています。5月から9月24日までMonet展が開催されているのです。そう、あの有名なモネです。

印象派大好き、の私なので早く見に行きたいと思っていましたがやっと先週その機会に恵まれました。

事前の情報で入り口に長い行列が出来ていたとか、会場は混んでいたとか聞いていたのですが、訪れたときには20人ほどがチケット売り場に並んでいただけでした。入場料は8ユーロ、日本円に換算すると、今は1ユーロが150円もするので、8ユーロは1200円、日本と比べると少しお安いのでしょうか。

この美術館は古い建物に新しい感覚で入り口と建屋の一部を付け足したような構成で、入り口部分は下の写真のようにとてもモダンな感じです。上の写真は古い建物の部分に張られたモネ展の大きな垂れ幕です。

Museum 入り口の手すりや屋根の色使いは少々現代美術に偏りすぎている感じもしてあまり好きではないのですが、美術館だと自己主張しているように思える点はやはりこれも芸術なのかなと思ったりもします。

ちなみにこの美術館の隣はバーデンビュルテンブルグ州の博物館、その隣は図書館です。道を挟んだ向かいはオペラ劇場と演劇場なのでいわばStuttgartの文化村のような地域ですね。

さて、肝心のモネ展ですが、会場に展示してあったのはほとんどがポプラや積み藁の絵で、睡蓮や海辺の風景の絵は一枚もありません。そして同じ位置で描いたと思われるほとんど同じ絵が2枚並んでいたりします。同じような絵を2枚並べて鑑賞してみるとそのわずかの違いからモネがどういうところを描きたかったのかが良く分り非常に興味深いものがありました。

全部で50点から60点ほどの絵がありましたが、それらが世界中から集められているのにも驚かされました。パリのオルセー美術館はじめオランダ、スイス、ロシア、そして日本の大原美術館と福島県立美術館の所蔵作品も展示されていました。Stuttgartの名誉のために言っておくと、この美術館もモネの絵を一枚所蔵しています。

ゆっくりと絵を見て回り、気に入った絵に戻ってしばらく眺めていたり、モネのドキュメント映画を上映しているのを見たり、カフェで休憩したり、10時半から気がつくと4時間以上も時間が経っていました。

素晴らしい絵と共にゆっくりと時間を使う。これもハイクオリティライフですね。

モネの絵についてはまた次の機会に。

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